オーディオドラマ-五の線2125 第百二十二話
16min2017 NOV 5
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23.mp3 霞が関合同庁舎の前に立った片倉は、登庁する職員に紛れていた。皆、言葉も何もかわさずただ黙々と歩き続ける。立ち止まった彼はおもむろに攜帯電話を取り出して電話をかけた。 呼び出し音 「片倉です。おはようございます。」 「おはよう。いまどこだ。」 「公庁の前です。」 「なに?予定は15時だぞ。」 「なにぶん不慣れな東京です。昨日の夜金沢出て車で休み休み來ました。」 「車?」 「はい。これがあと半年先ですと北陸新幹線で2時間半とちょっとでここに來ることができたんかもしれませんが。」 「北陸新幹線な…。」 「まぁ部長との予定の時間まで隨分ありますから、それまでどっかのネットカフェで休憩でもとります。」 「待て。せっかく來たんだ。俺の部屋まで來い。」 「え?」 「こっちも遠路はるばるお前が來るから、何かおもてなしをしないとと思って、その準備をしようとしていたところだ。」 「そんな…気を遣わんでも…。」 「こんな時間にまさか貴様が來るとは思わなかったから、何の準備もできていないが、空調が効いた部屋にいるほうがお前も疲れがとれるだろう。」 「あ…いいんですか?こんな田舎のいちサツカンが部