竹中平蔵の日本経済講座【無料配信】(第1章)2.2 世界の通貨戦爭をどう見るか
10min2019 JUL 12
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経済がますます國際化するなかで、為替レートの役割というのが大変重要になっています。これはもう當たり前の話ですが、モノを輸出するという観點からすると、為替レートは低い値にあるほうがいいです。円が安い、元が安い。そういうときには日本、中國の輸出は高まります。輸入も同じで、通貨が安いときのほうが相対的には輸入価格が高くなるので、輸入を減らすことができる。したがって貿易収支に焦點を當てるならば、通貨は安いほうが有利だと。これは一般的な原則としては言えるわけです。 一方で、例えば海外に旅行する人の立場を考えてみましょう。そうするとどういうことかというと、これはですね、通貨が高いほうがいいに決まっているわけです。通貨が高いことによって海外に行く旅費が安くなるわけでありますから、これは大変國民にとってはメリットがあります。そして通貨が高くなるということは、輸入品が安くなるということですから、國內の消費者にとってはそのほうにかなり大きなメリットがあります。 したがって、通貨は高いほうがいいか安いほうがいいかということに関しては、しょせんこれは水掛け論で、一般的にいうと生産をして輸出をする側、輸出を...