竹中平蔵の日本経済講座(第2章)4.1 戦後の発展と日本型システム
10min2019 JUL 23
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第2次世界大戦で日本は敗戦國になりました。そして広島と長崎に原子爆弾での攻撃を受けるという非常に厳しい狀況もあり、日本の経済はまさに焼け野原から出発したわけです。その當時、日本が持っていた船の約半分は失われたというふうにいわれています。そして日本にあった石油精製の設備の約8割は破壊されたというふうにいわれています。 そういうふうに、ほとんどゼロからの再出発、焼け野原からの出発になったわけですけれども、そのとき、実は最大の問題はインフレを抑えることでした。何といっても、もう生産設備がないわけですから、ものが不足します。ですから大変なインフレになるわけですよね。當時、ある資産家がたとえば國に頼まれてたくさんの國債、國の債券を持っていた。しかし物価が數十倍、100倍にもなるような狀況の中で、その債券というのは紙切れと同じような価値しか持たなくなって戦前の資産家が一気に貧しい生活をするようになったというような話も當時はたくさん聞かれました。 このインフレを抑えるということが必要であったわけですけれども、そのためには、やはり財政を引き締めなければいけない。しかし財政を引き締めると経済はますます...